もう分からないのだ。
新婚旅行のビデオがある。
これがまた一部始終だが、一部始終過ぎる。
誰も、もはや見ない。
長すぎるから。
北海道へ行ったのは確かだ。
女満別空港でおり、網走へ行ってから、知床を回って道東をおりてくる。旭川から新千歳へ向かった。
懐かしい。
しかしいつだったのか。
● ふと
お嫁が買ってくれてた、冷しゃぶを煮る。
冷蔵庫に入っていたものだ。
しゃぶしゃぶを煮るには、昆布を浸す。
こぶを煮てから鍋をするとは
● お嫁に教わった
結婚して、それから知ることも沢山あるものだ。
こぶを探しながらふと、海老名に引っ越して、これまた何年か分からなくなってる。
いつ海老名に来たんだっけか。
たしかそれは
● このブログに記録させてある
はずだ。
これだ。
もう(2009年9月8日, 02時08分)
いや、これじゃない。
もっと前だ、
NO2連休(2008年11月15日, 02時35分)
なるほど、海老名にこしてきたのは2008年11月のこと。
●じゃあ
結婚したのはいつなのか。
これはミステリーだ。
● そんな
ことを思いながらなんとなく生きてる。
死に向かって薄ら笑いで動く歩道に乗って、歩いたり走ったり。
しゃぶしゃぶを
● 食べたいのだ
そしてこぶを煮る。
場所は分かってるのだ。
台所の引き出しの上から3段目だ。
そういえばこのこぶ、ずっと使ってんなーと思い。
ふと
● 賞味期限を
見る訳だ。
● けしからんことに
2011年が賞味期限だ。
そういえば結婚してからずっとこの昆布を使ってた気がする。
いつどこで買ったのかと思い。
● 見ると
知床第1ホテル。
あの日、新婚当初の僕らは北海道を新婚旅行で巡ってた。
そう言えばホテルで昆布を買った気がする。
大事に大事に使ってきたんだ。
もとより貧乏性の夫婦だったのかもしれない。
結婚して、不妊治療をして、引っ越しをして、転職して、けんかして、仲直りして、猫を飼ったり、
そして子が生まれ、僕が教室長になって、現在に至るまで、
● 家の
ほとんどは買い直したり、買い足したり。
分子生物学的には、僕ら二人を構成する分子は新婚当時から今までで、全て入れ替わってしまっているにも関わらず、
● だし昆布だけが
実は僕らの生涯の中で、まだ、
新婚当初のまま、袋に入り。
天下り的に勝手に定められた賞味期限はとうの昔に切れていながら
● こんやの
疲れた僕へお嫁が買ってくれた豚しゃぶに
鍋へ入れられて鎮としている。
● あれから
引っ越しまでしてるのに。
まわりのルーやシチューの素は目紛しく入れ替わってる中、
なんか、心強くもあり。
はさみを入れられて徐々に小さく短くなっていく姿に何かを重ね合わせたりもし、
その対象が、お湯に煮られて味を出す昆布であるのに皮肉を感じながら
豚肉を食べてほどよく酔いるのだ。